
慶應義塾大学医学部6年の藤塚晴紀と申します。大学では、医学部体育会の水泳部に所属しております。低学年の頃にはインターンシップやNPOの団体にも所属して活動しておりました。5、6年生では学部の中にある「国際医学研究会」に所属し、ブラジルとボリビアでの医療活動に関わりました。現在は、2月の国家試験に向けて勉強に励んでおります。
アマゾンでの巡回診療を通して気づいた医療格差の実態
ー国際医学研究会の活動内容を教えてください。
医学部4年の際に選考面接があり、応募者のうち選ばれた3人が所属できます。そこから約2年間、6年生での海外活動に向け、1つ下の代と共に計6人で一緒に活動していきます。
特徴的なのは、6年生の夏休みを使い、自分たちで計画した医療活動を実行することです。私たちの代では、アマゾン川沿いの医師がいない村での巡回診療船に同乗したり、先住民族の村を訪ねて独自の医療を学んだり、ブラジルの学生と交流しながらポルトガル語で医療テーマについて発表したりしました。やりたいことを自由に話し合いながら、現地で受け入れてくれる人や団体を探して連絡を取り、綿密に計画を練っていきました。
さらに、企業や先生方に多大なるご支援を賜り、無事活動を実現することができました。自分たちだけでは得ることのできなかったことを、多くの方のご協力のおかげで叶えることができ、様々なことを学んだ2年間でした。
ー参加の動機を教えてください。
私は元々小中高と部活動をメインで活動してきたため、大学生活でも6年間水泳部の活動を中心に頑張りたいと思っていました。実際、自分が主将の代では、東日本医科学生総合体育大会で総合優勝をし、個人入賞も達成することができました。しかしそれ以上に、この部活で私が成し遂げられるものがあるのかを考えた際に、5、6年生で水泳部と別の活動にもチャレンジしたいという思いが生まれました。そうした中で、この活動を経験されたOBOGの先生方が様々な分野で活躍されている姿に憧れを感じ、私も挑戦することに決めました。
ー活動で最も困難だったことは、何ですか?
私は会計を担当していたのですが、近年財政状況が芳しくなかったため、今年は絶対赤字を出せないという状況で立て直ししていかないといけなかったことです。現地でお世話をしてくださる方々と緻密に相談させていただきながら、団体の後輩たちが継続的に活動していけるよう、予算を組み立てました。
ーブラジルやボリビアに注目した理由を教えてください。
私たちの団体がお世話になっている日系ブラジル人の方のご縁で、毎年ブラジルを訪問しています。それに加え、毎年もう1カ国、学びたい内容に応じた国を選択しております。今年度は、私を含め小児分野・産婦人科に関心のあるメンバーがいたため、チーム独自の目標として母子感染に注目し、JICAが行うボリビアでのシャーガス病母子感染対策プロジェクトを知り、相談の末に参加が決定しました。
ー活動を通して得た学びを教えてください。
1つ目は、「医療格差の実態を実感したこと」です。日本では、どこに住んでいても専門医の診断を受けられるのが当たり前で、医療は基本的な人権の一つだと考えていました。しかし、ブラジルやボリビアでは緊急時に数時間ボートで移動しなければいけなかったり、専門医の診察を受けるには数時間待たなければいけない現状を目の当たりにしました。経済状況や居住環境によって医療へのアクセスが大きく異なる現実が印象的でした。
2つ目は、「日本と南米の価値観の違いを学んだこと」です。日本では安心・安全を重視する人が多い一方で、南米の方々は「人生は一度きりだから楽しむことが大切だ」と考える人が多いようです。「やりたいことを今やる」という彼らの生き方に触れ、自分が無意識に作っていた枠組みやルールに縛られず、やりたいことを前向きに追求していく心構えの大切さを学びました。
3つ目は、「人との繋がりの重要性を再認識したこと」です。私たちの活動はOBOGの先生方や企業のご寄付によって実現しました。また、現地では団体と関わりのある方々が私たちを温かく迎え入れてくれました。人と人との繋がりで活動が成り立っていることを学び、今度は自分たちが何か恩返しをしたいと思いました。
子供の笑顔と選択肢を増やせる世界で活躍する医師になる
ー 将来の夢を教えてください。
私はこれから2年間研修医となり、様々な科を経験します。その後に自分の専門を決めていくのですが、現在は「小児外科」を考えております。さらに世界で活躍できる医者になりたいと思っております。
日本の高いレベルの教育を受け、そこで学んだことをしっかりと世界で発信したり、世界の状況も吸収したりできるような医者になりたいです。日本で学ぶだけでなく、アメリカなどの地域の医療も学び、将来的には医療資源がうまく行き届いていない国の子供たちに提供したいと考えております。そして、子どもたちの将来の選択肢を少しでも増やせるような活動をしたいと思っております。
ー小児外科を志望する理由を教えてください。
私は、大学時代のアルバイトやボランティアで子供と関わる機会が多く、その中で、幼少期にどのような人に囲まれて、どのような経験をできたかにより、将来の選択肢が大きく変わることを実感しました。家庭教師の経験においても、自分が少しでもその子の将来に貢献できたと思うこともあれば、自分の力が足りなかったと思うこともありました。その中で、将来子供たちに関わり、その子の将来の選択肢を少しでも増やし、笑顔を増やすことができるような活動をしていきたいという思いが生まれました。
そして、大学で手術見学や実際に手を動かす経験をしていく中で、外科の仕事に楽しさとやりがいを感じ、自分も将来は外科医として活躍したいと思うようになりました。また、小児外科の先生方は非常に尊敬できる方が多く、そういった先生方と共に働きたいと思ったことも、小児外科を考えた大きなきっかけです。実際に研修医として働いてから考えは変わると思うので、まずは研修医として一人前となることを目指します。
進路選択に影響を与えたプロジェクトエニー
ーエニーに入ることを決めた理由を教えてください。
私が中高で仲良かった友達が元々エニーで活動していたのがきっかけです。その子がエニーのイベント運営を手伝っており、その時の写真が海外の方や様々な大学の子も混じっていて、とても楽しそうだと思い、入ることに決めました。
ー実際に入ってみてどのように感じられてますか。
就活を目標としておらず、スキル獲得や自己理解の機会を提供することをメインに行っていることがとても印象的でした。特にメンターワークアウトでは、3回同じ方とお話でき、またその方は心理学に関して勉強された方だったので、私の価値観などを客観的にフィードバックしていただけたことで、自己理解を深めていくことができました。それが、自身の病院選びに非常に役に立ちました。
また、自分がやりたいことや価値観を堂々と話せる環境は意外となく、非常に貴重な環境であると感じています。
最後に背景にピンク色を選んだ理由について
ピンクは赤の要素もあって、ガッツも感じられれば、温かみも感じられて、協調性を表現できる色であると思ったからです。
